辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 セシリオは平均的な貴族男性よりも二十センチ位、頭一つ分近く背が高い。当然、足の長さも全然違う。つまり、ステップの一歩が大きすぎて、普通のご令嬢では噛み合わないのだ。

 それに気付いたサリーシャは出来るだけ自分も大きなステップを踏むように練習した。セシリオにも一歩を小さくしてもらうようにお願いした。
 幸い、サリーシャはタイタリア王国の貴族令嬢の中では長身にあたる。今日は十センチもあるヒールを履いてきたので、セシリオともかなり身長の釣り合いがとれている──とは言っても、やはり頭一つ分の差はある──はずだ。

「閣下は、わたくしと一緒に踊って下さいますか?」
「もちろん。きみと踊るために散々練習した。きみの相手以外は遠慮したいところだ」
「まあ、ふふふ……」

 先ほどまではあれほどの恐怖心を感じていたのに、今は笑みがこぼれる。セシリオはそんなサリーシャを見つめて、目尻を下げた。