辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

「わたくし、舞踏会の会場で閣下とダンスを踊りたいのです」

 控え室の椅子に座ったままポツリと呟くサリーシャに、セシリオは小さく頷いて見せる。

「あまりきみに無様なところは見せたくないが、善処しよう」

 そう言うセシリオの眉間には、やっぱり今日も皺が寄っていた。散々練習したのに、とうとうダンスへの苦手意識を克服することはできなかったようだ。サリーシャはその様子を見て、思わずクスクスと笑い出した。

 セシリオはなにかと『ダンスが苦手だ』と言う。
 最初こそ、いったいどれ程苦手なのかとサリーシャも心配していた。もしかしたら、目も当てられないくらいに壊滅的に下手くそなのかもしれないと思ったのだ。
 しかし、蓋を開けてみれば、セシリオの苦手はサリーシャの予想とは少し違っていた。

 一緒に踊ってみて分かったことは、セシリオがタイタリア王国の平均的な男性よりも体が大きすぎるということだった。