辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 それに、ダンスもセシリオの忙しい執務の合間を縫っては、二人で練習した。王都の仕掛け時計の人形のように、大好きな人とダンスを踊るのをサリーシャはずっと夢見ていた。セシリオと一緒にあの豪華な大広間でダンスを踊ったら、どんなに素敵だろう。

 それなのに、からだが震えて言うことをきかない。
 セシリオはサリーシャの震える手と青ざめた顔を見比べた。

「──サリーシャ、怖いのか?」
「…………」

 答えられずに俯くサリーシャの手にそっとセシリオの手が重なる。サリーシャはハッとして顔を上げた。


「サリーシャ、大丈夫だ。きみのことは俺が守ってやるから。絶対に守ってやる」
「──申し訳ありません」
「何も謝ることはない」

 手を握られて微笑まれた時、フッと体から恐怖心が抜け落ちるのを感じた。ただ手を握られただけなのに、この人がいてくれるだけで、とても強くなれる気がした。