***
普段は静かな執務室に、大きな笑い声が響く。けらけらと笑いながら肩を揺らすモーリスを睨み据え、セシリオは眉を寄せた。
「モーリス。笑いすぎだ」
「はっはっはっ! いや、悪い。けど、笑わずにいられるか?」
謝罪しながらも未だ笑い転げるモーリスの前で、セシリオは苦虫を噛み潰したような顔をした。
今朝は歴代アハマス領主の結婚式明けの朝としては、歴史に残る騒動だっただろう。新妻であるサリーシャはさめざめと泣くし、クラーラは怒り心頭といった様子で自分を睨みつけてくるし。
セシリオが辛抱強くサリーシャをあやしてようやく聞き出した事実は、その場にいた誰もが想像だにしていない内容だった。なんと、サリーシャは自分が朝食を作らなければならないと思っていたのだ。
「閣下、本当に申し訳ありませんでした。わたくし、朝食は自分が作らねばならないと思い込んでおりましたの。昔、そう聞いたから……」
「俺も、昨日の夜に言っておけばよかった。悪かった」
テーブルの向かいに座り、酷く落ち込んだ表情で謝罪するサリーシャを見て、セシリオは苦笑するしかなかった。
サリーシャはフィリップ殿下の婚約者候補となるほどに、完璧に貴族令嬢として礼儀作法を身につけている。そのため、途中まで平民として育っていたことをセシリオもクラーラも知っていたのに、すっかりと失念していた。
普段は静かな執務室に、大きな笑い声が響く。けらけらと笑いながら肩を揺らすモーリスを睨み据え、セシリオは眉を寄せた。
「モーリス。笑いすぎだ」
「はっはっはっ! いや、悪い。けど、笑わずにいられるか?」
謝罪しながらも未だ笑い転げるモーリスの前で、セシリオは苦虫を噛み潰したような顔をした。
今朝は歴代アハマス領主の結婚式明けの朝としては、歴史に残る騒動だっただろう。新妻であるサリーシャはさめざめと泣くし、クラーラは怒り心頭といった様子で自分を睨みつけてくるし。
セシリオが辛抱強くサリーシャをあやしてようやく聞き出した事実は、その場にいた誰もが想像だにしていない内容だった。なんと、サリーシャは自分が朝食を作らなければならないと思っていたのだ。
「閣下、本当に申し訳ありませんでした。わたくし、朝食は自分が作らねばならないと思い込んでおりましたの。昔、そう聞いたから……」
「俺も、昨日の夜に言っておけばよかった。悪かった」
テーブルの向かいに座り、酷く落ち込んだ表情で謝罪するサリーシャを見て、セシリオは苦笑するしかなかった。
サリーシャはフィリップ殿下の婚約者候補となるほどに、完璧に貴族令嬢として礼儀作法を身につけている。そのため、途中まで平民として育っていたことをセシリオもクラーラも知っていたのに、すっかりと失念していた。



