辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


 地を這うような低い声に、セシリオが肩をびくんと揺らす。

「俺はなにもしていない!」
「……何も?」

 訝し気にセシリオを見上げるクラーラを見て、セシリオはぐっと言葉に詰まった。何もしていないというのは語弊があった。しかし、壊れ物を扱うように優しくした記憶はあっても、泣かせるようなことをした記憶はない。

「サリーシャ、一体どうしたんだ!?」

 セシリオの悲痛な叫び声が、のどかな朝のアハマス領主館に響き渡った。