地を這うような低い声に、セシリオが肩をびくんと揺らす。 「俺はなにもしていない!」 「……何も?」 訝し気にセシリオを見上げるクラーラを見て、セシリオはぐっと言葉に詰まった。何もしていないというのは語弊があった。しかし、壊れ物を扱うように優しくした記憶はあっても、泣かせるようなことをした記憶はない。 「サリーシャ、一体どうしたんだ!?」 セシリオの悲痛な叫び声が、のどかな朝のアハマス領主館に響き渡った。