「クラーラ! 朝食に不手際だ!」
慌てた様子でセシリオが叫ぶと、寝室のドアのすぐそばに控えていた、本日朝の準備を手伝ったクラーラを始めとする侍女がドバっと部屋に入ってきた。
「どうなさいました?」
「どうやら不手際があったらしい」
「本当に不手際だわ。あぁ、閣下、ごめんなさい」
サリーシャが顔を覆って泣き出したのを見て、クラーラは呆気に取られた。しかし、現当主の乳母を務めたほどのベテラン侍女。すぐに状況把握に努め始めた。
まず、テーブルには出来立ての朝食がセッティングされている。これは今朝料理長が腕に寄りをかけて作った物で、なにも問題ない。至る所に飾られた花も、花瓶ごと今朝セシリオに手渡したので、咲き具合も生け具合も完璧だ。つまり、朝の準備に抜かりはない。
一方、ベッドでは今起きたばかりであろうサリーシャが顔を覆ってさめざめと泣いている。その横でセシリオは呆然としていた。
ここから導き出される答えは一つしかない。
「旦那様。昨夜、奥様にどんなご無体を?」



