辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 ◇ ◇ ◇


 カチャ、カチャっとカトラリーがぶつかる様な僅かな音が聞こえた気がした。サリーシャは心地よい微睡みの中、ゆっくりと意識を浮上させてゆく。

「う……ん……」

 小さく身じろぎすると、それに合わせるかのようにカーテンが引かれる音がして、目を閉じていてもまぶた越しに明るさが増したのを感じた。しばらくするとカシャとドアを開くような小さな音がして、囁くような会話の声と、ふんわりとよい香りが鼻腔をくすぐった。

 ──いい匂い……

 これは、朝ごはんの匂いだろうか。鼻をスンと鳴らすと、小さく笑う気配がして頬に柔らかいものが触れた。

 ──ああ、朝ごはんの時間なのね。

 サリーシャは、微睡みながらそんなことを思った。とてもいい匂いがする。食べ物の匂いに混じって、僅かに薫るのはモーニングティーだろうか。

 ──起きないと。朝ごはん……、朝ごはん……、朝ごはん!