辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


 そんなことはしないと言いかけて、セシリオはぐっと言葉に詰まった。セシリオとて一人の健康な男。隣にサリーシャが無垢な寝顔を晒してすやすやと寝ていたら、手を出さないとは言い切れない。いや、恐らく出す。
 眉根を寄せるセシリオをじとっと見据え、クラーラは腕を折って両手を腰に当てるポーズをとった。

「と言うことで、その提案はお断りします。今後一切、夜にお嬢様を連れ込ませません」
「いや。待て」
「いいえ、待ちません」

 とりつく島もなかった。そんなこんなで、あの日以降は、サリーシャが寝入るまで侍女たちによる厳しい監視体制が敷かれていたことをサリーシャは知らない。その監視が、今夜ついに解かれるのである。セシリオは万感の思いで右手を上げ、モーリスの方を向いて朗らかに微笑むと、その場を後にした。