そう言ったセシリオを、クラーラはキッと睨み据えて強い口調で叱責した。
「旦那様。わたくしは本当に情けない! 怒りに任せてお嬢様にこんな無体を働くなんて!! そんなケダモノにお育てした覚えはありませんっ!」
そう、クラーラは完全に誤解していた。
前日の夜に突如サリーシャが行方をくらまし、その後険しい表情のセシリオが項垂れるサリーシャを連れ戻した。そして、話し合いを行うと言って自室に連れ込んだと思ったらそのまま出てこず、ようやく朝になってサリーシャの手伝いをしてやってくれと呼ばれたら、そんな状態になっていたわけである。
つまり、なんらかの理由で喧嘩して飛び出したサリーシャを怒りに任せてセシリオが自室に連れ込み、無体を働いたと思ったらしい。
「待て、クラーラ、誤解だ」
「大の大人が言い訳してはいけません! そもそも、こういうことはしっかりとけじめをつけたいと、わざわざフロアを分けたのは旦那様でしょう!?」
「それはそうなのだが……」
「絶対にダメです。挙式前にご懐妊したらどうするおつもりですか? 後ろ指を指されて辛い思いをするのはお嬢様の方なのですよ?」
「そんなことは──」



