辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


 アハマスの五地区の長官達が次々と管轄地域の近況を報告してゆく。真面目な顔で対応していたセシリオだが、実は若干そわそわし始めていた。先程の美しいサリーシャの姿が脳裏を離れない。早く二人きりになって存分に愛でたいのである。この場はモーリスに任せるべきだった。

「他に、なにか報告はあるか?」

 最後の長官が報告し終えたところで、セシリオは五人を見渡してそう尋ねた。五人が黙り込んだのでこれ幸いとお開きにしようとしたとき、一人の長官──アルカンがおずおずと手を挙げた。

「閣下、よろしいでしょうか」

 セシリオは内心、がっかりした気分で椅子に座りなおした。さっさと終わりにしてサリーシャの元に戻りたいのに、まだ報告があるのか。

「なんだ?」
「実は、最近窃盗団が街道周辺に出ています。(たち)が悪いことに用心棒までつけているようで、こちらの警ら隊に被害が出ています」
「窃盗団で警ら隊に被害が?」