辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

◇ ◇ ◇

 
 披露宴がお開きになると、セシリオはまずサリーシャを先に部屋へと戻らせることにした。

「俺は久しぶりに各地区の長官達と話したいから、サリーシャは先に戻ってくれるか?」
「はい、かしこまりました。失礼します」

 サリーシャは微笑みを浮かべると、素直にそれにしたがった。ずっと笑顔でいるが、きっと朝から緊張しっぱなしで疲れていたのだろう。

 花嫁は準備にも時間がかかる。サリーシャは今朝早く大聖堂の控え室に入ってから、化粧師やら髪結い師やら仕立屋やらに取り囲まれ、その準備だけで三時間もかかっていた。その結果、大聖堂に純白のウェディングドレスを着て現れたサリーシャは、女神のごとく美しかった。
 普段から美しく、その性格も可愛いらしいサリーシャだが、今日は少し大人っぽく仕上がっていた。それが色香を感じさせ、さらに美しさに磨きがかかる。とにかく、セシリオの乏しい語彙力では表現出来ないほどに美しかったのである。大聖堂で軽いキスだけに留めた自分の理性に、惜しみない拍手を贈りたいほどだ。しかも、近づくと花のようなよい香りがした。

「──は、河川工事が終わってかなり水の供給が安定してきました。次は隣地区にとりかかります」
「そうか。順調でなによりだ」