「わたくし、少しはずします」
「サリーシャ様? 本日は結婚式当日でございますが? そろそろ準備しないと、旦那様が戻って参ります」
「まだ地方長官の方たちとお話しているでしょ?」
「間違いなく、早々に切り上げて戻って参りますわ。なんと言っても、今夜からわたくし達の厳しい監視がありませんからね」
「監視?」
サリーシャは物騒な単語に訝しげに眉をひそめた。クラーラは慌てたようにオホホっと笑う。
「いえっ、なんでもございませんの。とにかく、結婚式当日の夜に花嫁がどこぞをほっつき歩いて寝室にいないというのは、非常によろしくありません。初夜ですから」
「そ、そうよね……」
『寝室』『初夜』と言われてサリーシャの頬は薔薇色に色付いた。今夜から、サリーシャの寝室は二階の客間から、三階の夫婦の寝室に変わるのだ。以前、あの部屋で起こった出来事を思い出して、否が応でも赤面してしまう。



