辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


 たしか、そんな会話をした気がする。
 結婚式の翌日の朝とは、もしかして明日の朝ではなかろうか? そこでサリーシャははたと気が付いた。それから程なくしてマオーニ伯爵邸に引き取られ、貴族令嬢としての教育を受けてきたサリーシャは、料理をしたことがない。フィリップ殿下の妃になるのに、料理の技術は不要だったからだ。

 ──これって、貴族でも同じなのかしら?
 
 貴族の屋敷では、没落していない限り必ず料理人がいる。サリーシャはよくわからず、助けを求めるようクラーラを見つめた。クラーラはサリーシャの表情に怪訝な表情で首をかしげる。

「どうかされましたか?」
「昔、田舎にいた頃に姉に聞いたの。新婚生活において、妻の作る朝ごはんは旦那様にとって、とても重要なものらしいわね」
「ああ、一般的にはそうかもしれませんわね」

 クラーラは笑顔でこくりと頷く。新妻が朝早く起きて愛する夫に朝食を振る舞うのは、一般家庭でよく見られる微笑ましい光景だ。クラーラも新婚のときは張り切って朝ごはんを作ったものだ。

「奥様も明日の朝食で、とても素敵な時間を過ごせると思いますよ」