辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


「すぐに慣れますわ」
「そうね。ふふっ」

 料理人があの豪華な食事の数々の合間に作ってくれた軽食は、サンドイッチだった。しかし、具材の肉が分厚く、いつもより随分と豪華だ。きっと、あの場に出された料理の一部を取り分けて使用しているのだろう。

「美味しいわ。今日は、ご飯があまり食べられなくて残念だったの」

 サリーシャはもぐもぐとサンドイッチを頬張る。厚みのある牛肉はその見た目に反して柔らかく、口の中でとろりと溶けた。冷えたものでもこの美味しさ。あの場に並んでいた料理はさぞかし美味だっただろう。

「明日、料理長に直接お伝えするのが宜しいかと。きっと、大喜びでまた作ってくれますわ」
「でも、あんなに豪華な食事をまた作って貰うのは悪いわ」
「では、旦那様か奥様のお誕生日などは如何でしょう?」
「ああ、それはいい考えね」

 サリーシャはその名案にパッと目を輝かせた。マオーニ伯爵邸ではいつもの食事にケーキが用意されていただけだったが、田舎に住んでいる頃は誕生日には毎年ご馳走が並んでいた。ご馳走と言っても今食べている普段の食事よりも粗食なくらいだ。けれど、サリーシャの好きな料理を母や近所に住むお嫁に行った姉が朝から張り切って作ってくれたのを覚えている。久しぶりに思い出す田舎の記憶に、サリーシャは懐かしさから目を細めた。