披露宴は三時間ほど続いて終了した。サリーシャはそのまま下がったが、セシリオは久しぶりに地方を治める長官達が集まったので各地区の情報を直接聞きたいと、その場に留まった。書簡で定期的な報告は受けていても、直接膝を突き合わせて話したいことは色々とあるようだ。
「お疲れ様でした、奥様」
ドレスを脱いでふぅっと大きく息つくと、そのドレスを抱えて皺にならないように片付けていたクラーラがそれに気付き、労いの言葉をかけてくれた。
「アハマスの領地内からしか招待していないとは言え、お客様が沢山で大変だったでしょう?」
「ええ、そうね。でも、セシリオ様が皆様に慕われていることがよくわかったわ。わたくしも、セシリオ様を支えられるように頑張らないと」
「わたくし達も、奥様のことを全力でお支えいたしますわ」
クラーラは笑顔で頷く。そして、殆ど食事が取れなかったサリーシャのために、簡単なプレートを用意してくれた。
「その、『奥様』ってクラーラから呼ばれるのは、少しくすぐったいわ」
サリーシャは結婚式を終えた今、正真正銘のアハマスの辺境伯夫人だ。『奥様』の呼び方になにも間違いはないのだが、今まで『お嬢様』と呼ばれていたので、なんとなくむず痒く感じた。



