辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


「では、これからはわたくしがしっかりと取り仕切って企画しないといけませんわね」

 サリーシャがぐっと手を胸の前で握りこむと、セシリオはふっと目元を和らげた。

「新たな辺境伯夫人に期待するとしよう」

 そして、何かを思いついたように視線を宙に浮かせる。

「確か、俺がまだ小さかった頃──姉上が成人してから嫁ぐまでの数年間、女主人の代理として様々なことを取り仕切っていた。フィリップ殿下の結婚式の際に会えるはずだから、話を聞くといい」
「閣下のお姉様? はい、お会いできるのを楽しみにしております」

 サリーシャは笑顔で頷いた。
 セシリオには、八つ歳上の姉がいる。アハマスと領地を接する、プランシェ地方を治める伯爵夫人だ。どこかの社交パーティーで一緒になったことが一度くらいはありそうな気もするが、サリーシャは特に気にもしていなかったので記憶にない。いったいどんな人なのだろう。少しの不安もあるけれど、楽しみな気持ちの方が大きい。
 サリーシャは期待に胸を膨らませ、口元を綻ばせた。