辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 その表情が一瞬だけ、少し寂し気に(かげ)ったような気がして、サリーシャはレニーナを見つめ返した。けれど、レニーナは何事もなかったかのように穏やかに微笑んでいる。

「はい。是非いらしてくださいませ。お待ちしております」
 
 サリーシャは口角を上げ、笑顔を作るとただ一言だけ、そう返した。
 たとえそうだとしても、ここで後ろめたく感じるのはレニーナに失礼だと思ったのだ。アハマスで立派に辺境伯夫人を務めることが、優しい彼女の心遣いへの自分ができる最大限の報いだ。

「さあ、準備を続けないと。時間がないわ」
「はい。そうですわね」

 サリーシャは手元の準備リストを見た。まだまだやることはたくさんある。パーティーは今夜に迫っていた。

 一文字一文字丁寧に、間違いなく。