辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 そのとき、廊下の方から歩いてくる背の高い女性を見止めてサリーシャは動揺から体を小さく揺らした。パーティーの進行の確認をしていたメラニーが、こちらに状況の確認をしに来たのだ。サリーシャ達が大広間の一角に集まっていることに気付くと、まっすぐにこちらへと向かってきた。

「問題なく準備は進んでいるかしら?」
「それが……」

 レニーナが困ったように事情を話し始める。
 静かに話を聞いていたメラニーの表情はみるみるうちに厳しいものへと変わっていった。
 
「花の手配はすぐに出来るものではないわ。あなた達もそれはご存知よね? こういう些細なことが手際の悪さを露呈させて、プランシェ伯爵家の評価を落とすことに繋がるのよ?」
「はい……」

 サリーシャ達は互いに顔を見合わせて、表情を強ばらせた。メラニーは一見すると落ち着いているが、口調は固く、激しい怒りを必死に抑えていることは明らかだった。