辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

「では、やはりアハマス辺境伯夫人はサリーシャ以外にあり得ない」

 少年のように微笑んだセシリオの顔が近づき、軽く唇が触れる。一旦離れて目が合うと、セシリオはいつものように優しくヘーゼル色の瞳を細めて微笑んだ。

「サリーシャ、愛してる」

 そのたった一言で、心が喜びに震えた。
 落ち込んでいた気持ちがふわりと軽くなるのを感じる。

 ──わたくしは、こんなにもこの人を欲している。

 そのことを、まざまざと知らしめられた。離れるなど無理だ。
 そんなことになれば、きっとサリーシャは王宮で刺されて出口の見えない暗闇に突き落とされたと感じたとき以上の絶望に突き落とされるに違いない。
 また目の奥が熱くなり、鼻がツーンと痛みだす。

「──本当は、閣下に抱きしめて欲しかったんです」
「ああ」
「閣下に会えなくて寂しかったんです」
「ああ」
「でも、閣下に甘えてしまいそうで……」