辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

「俺は、きみが思うほど優れた男ではない」

 くぐもった低い声が、耳元で聞こえた。

「え?」

 サリーシャはセシリオの顔を見ようと体を離そうとしたが、セシリオの腕に力がこもり、それは叶わなかった。

「昨日、パトリックと池にいただろう? 望遠鏡を探してて」

 サリーシャは驚いて、先ほどより力を込めてセシリオの胸を押した。今度はすんなりと腕が外れる。ゆっくりとセシリオの体が離れ、ヘーゼル色の瞳としっかりと目が合った。

「どうしてそれを……」
「パトリックにさっき聞いた。サリーシャがなくした望遠鏡を探して自分で池に入ろうとしていたと」
「…………」

 サリーシャは目を伏せた。
 知られないようにあんなにきつい言い方をしてしまったにも関わらず、結局は知られてしまった。
 自業自得だろう。

「申し訳ありません」
「いや、それはいいんだ。ラウルが転んだ拍子に落としたのだろう?」