辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

「俺の妻に相応しいかどうかは俺が判断する。姉上ではない。それに、俺は結婚する前にサリーシャだから妻にしたいのだと伝えたはずだ。忘れたのか?」
「いいえ。忘れてなどおりません。でも……わたくしが閣下と一緒にいると、閣下に迷惑をかけるかもしれません」
「でも、ではない。迷惑などかからないと言っているっ!」

 いつにない強い口調に、サリーシャは恐怖を覚えて体を強張らせた。セシリオがサリーシャに対して怒ったことなど、結婚してから一度もなかった。

「それとも、やっぱりパトリックのような優しい貴族風の男がよかったのか?」
「なにを……」

 なにを言っているのか意味がわからない。なぜここでパトリックの名が出てくるのか。
 怒っているはずのセシリオは、なぜかひどく傷ついたような目をしてサリーシャを見つめる。そしてサリーシャの背に手を回して抱き寄せると、肩に顔を埋めた。