辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 急に体勢を変えてセシリオに正面から向き合ったサリーシャの強い口調に、セシリオは驚いたように目をみはる。サリーシャは、その顔が涙でぼんやりと滲んでくるのを感じた。

「ちっとも大丈夫ではないわ。こんなに失敗ばっかりするなんて……。メラニー様に言われたのです。わたくしがしっかりしていないとアハマスに泥が塗られる。閣下が恥をかくと」

 セシリオはサリーシャを見つめながら、僅かに眉を寄せる。

「あまり酷いようなら、子ができないうちに閣下にわたくしはアハマス辺境伯夫人に相応しくないと進言しなければならないと言われました」
 
 その瞬間、セシリオは見たことがないくらい怖い顔をした。
 かつてサリーシャが夜にアハマスの屋敷を飛び出したときと同じくらい、いや、それ以上に怒っている。

「サリーシャ」

 セシリオが低い声で呼びかける。サリーシャはビクンと肩を揺らした。