辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 “失敗することは誰にでもある”

 それはわかっているけれど、物事には限度というものがある。サリーシャが答えられずにいると、セシリオはにこりと微笑んだ。

「書き直そうか。姉上にこれの作成を任されたのだろう? 途中で投げ出すのはさすがによくない。今度は俺も書き間違いがないか一緒に確認しよう」

 優しく諭すように言い聞かされ、サリーシャはおずおずとテーブルに向かうとペンをとる。セシリオはテーブルを挟んで向かいに置かれていた椅子を移動させると、サリーシャのすぐ隣に座った。そして、カードとノートを見比べながら書くべき名前を読み上げてゆく。
 
「最初はアルナンド=ドナート氏。綴りは……」

 サリーシャはセシリオがゆっくりと読み上げる名を、その通りに書き写してゆく。そして書き終えると、二人で一緒に間違いがないかを確認した。