辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

「これは、きみが書いたのか? 材木商のアルナンド=ドナート氏、運輸会社のローランド───……」

 サリーシャはセシリオが読み上げるそれらの名前に聞き入った。全て書いた覚えがある名前だから、サリーシャが書いたに違いない。何回も見直したから、しっかりと覚えている。
 サリーシャはぐっと唇を噛み締めて俯くと、小さく首を縦に振った。

「そうか……」

 セシリオはなにか納得いかないようにカードを眺めていたが、空いている手をサリーシャに伸ばす。急に腕を掴まれたサリーシャは驚いてセシリオを見上げた。ダメだとわかっているのに、自分の不甲斐なさが情けなくて涙が浮かんできていた。
 セシリオはサリーシャの顔を覗きこむと、掴んでいた腕を離して顔に手を伸ばした。手を添えると、サリーシャの目尻に浮かぶものを親指で優しく拭った。

「失敗することは誰にでもある」

 サリーシャを励ますような、優しい口調。