辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 昨日はセシリオにきつい口調で『あなたには関係ない』と言ってしまった。セシリオは驚いたように目をみはり、信じられないものでも見るかのようにサリーシャを見つめた。サリーシャはその視線から逃れるように顔を背けてしまった。

 セシリオを傷つけるつもりなどなかった。けれど、望遠鏡を落としたことを知られたくなくて、咄嗟(とっさ)にあのような口調になってしまったのだ。
 さらに、部屋まで付き添ってくれたセシリオにお礼も言わずに別れてしまった。礼を失する態度としか言いようがない。

「謝らないと……」

 サリーシャは鈍く光る筒を見つめた。王都を訪れたときにセシリオが『きみに贈ろう』と言って選んでくれた大切な望遠鏡──サリーシャの宝物だ。

 久しぶりのセシリオとの再会に心は踊るのに、その想いとは裏腹にセシリオとの距離が遠ざかったような気がする。その原因は、全て自分の不甲斐なさにある。