辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 パトリックと世間話を終えて部屋に戻ろうとしたセシリオは、部屋の前でドアをノックしようとしているレニーナに気付いた。レニーナは片手に紙のカードを乗せたトレーを持っている。

「レニーナ、どうした?」
「あら、セシリオ様」

 レニーナはセシリオに話しかけられて驚いたように目をみはると、ドアをノックするために上げかけていた片手を下ろした。

「あの……、サリーシャ様に用がありますの」
「サリーシャに? どうかしたのか?」

レニーナは言うべきかを迷うような表情を見せたが、静かに自分を見つめるセシリオを見返して「実は……」と事情を話し始めた。

「サリーシャが? 五枚も? 間違いじゃないか?」

 セシリオはレニーナから事情を聞き、俄かには信じられずに眉根を寄せた。サリーシャに作成を任せた分の席札が、五枚も間違っていたというのだ。