辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

「なんでもございません。閣下には関係ありませんわ」

 はっきりと大きな声でそう言ったサリーシャからは、明確に拒絶の意思が感じられた。セシリオは驚きで目を見開く。

「──サリーシャ?」
 
 無意識に零れた呼びかけからも逃げるように目を逸らしたサリーシャの横顔が、妙に鮮やかに脳裏に焼きついた。
 




 サリーシャとパトリックの奇妙な行動を目にした翌日、セシリオはパトリックの部屋へと向かった。

 昨日、サリーシャは明らかにおかしかった。
 セシリオと再会して花が綻ぶかのような笑みを浮かべたかと思えば、距離を保つように逃げる。
 あなたには関係ないとこちらを拒絶するような言動をとったかと思えば、寝た振りをしたセシリオにすがるようにぴったりと寄り添ってきた。
 そして、サリーシャは朝までセシリオにくっつき、離れることはなかった。