辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 パトリックの予想だにしない行動に驚いたセシリオは、すぐに階下に向かった。いったいあの二人はなにをしているのか、皆目見当がつかない。
 そうして玄関から庭園へ出ると、サリーシャとパトリックがこちらに向かって並んで歩いてくるところだった。パトリックは池に入ったせいでびしょびしょに濡れているが、二人とも楽しそうに笑っている。

「あ、叔父上だ」

 セシリオの姿に気付いたパトリックが笑顔を見せたのに対し、サリーシャはサッと顔を強張らせた。その様子にセシリオはなぜか焦燥感のようなものを覚えた。二人が並んでいると、先ほどのジョエルの『またとない良縁だったのに』という言葉が脳裏を過る。

「二人の姿が見えたから来てみたのだが……。サリーシャ、パトリック、いったいどうしたんだ?」

 努めて穏やかに声をかけると、パトリックが説明しようと口を開きかける。しかし、それを遮ったのはサリーシャだった。