辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 伯爵邸の来賓用客室とはいえ、そこまで広くはない。部屋の中はすぐに確認出来る。一通り室内を見たが、サリーシャはいなかった。

「いないのか……」

 サリーシャに部屋にいろと伝えていたわけでもない。レニーナかローラとお茶でもしているのだろうかと思いながらふと窓が外を眺めたセシリオは、そこでおかしな光景を目にした。
 そこにいたのは探していたサリーシャだった。だが、なぜか庭の池の前で靴を脱いでおり、さらにスカートをたくしあげようとしている。

「なにをしているんだ?」

 セシリオは目を凝らした。一見すると、池に入ろうとしているように見える。

 ──まさかな……。

 まさかそんなことはしないだろう。そんなふうに思って見守っていると、今度はパトリックが現れてなにかを話し始めたのが見えた。
 すると、今度はまさかでなく、パトリックが池にじゃぶじゃぶと入り始めたではないか。