辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 セシリオには、徳のある人間が義賊とはいえ犯罪紛いのことをするとは思えなかった。となると、今までは気が付かなかったが、ジョエルのいうように“言えない事情”があると考えるのが自然だ。

 “言えない事情”とはいったいどんな事情だろうか。 
 家族や大切な人が人質になっている?
 弱味を握られている?
 もっとひどい犯罪に手を染めていて、それが周知になることを怖れている?

 少し考えたが、はっきりとこれだという理由は思いつかない。
 もしかしたら、複数の理由が当てはまる可能性もある。
 黙って考え込むセシリオを静かに見守っていたジョエルは、気を取り直すように紅茶を一口飲む。

「ところでセシリオ、改めて結婚おめでとう。可愛らしいお嬢さんだな」

 思考に耽っていたセシリオははたと動きを止める。ジョエルは穏やかな笑みを浮かべてこちらを見つめていた。

「ええ、ありがとうございます」