辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 サリーシャがラウルと庭で遊んでいたそのとき、セシリオはジョエルと話をしていた。ジョエルの執務室に続く応接間でジョエルと向かい合ったセシリオは、太ももに肘をつくようなやや前傾姿勢になった。

「義兄上、あの協定書のおかげで、ここ一ヶ月で二回ほど賊を捕らえることができました。ありがとうございます」
「そうか、それはよかった」

 ジョエルは穏やかな笑みを浮かべて頷く。

「捕らえたということは、黒幕の確保も間もなくかな?」
「いえ、それが……」

 いい淀むセシリオを見てジョエルは首を傾げたが、セシリオから事情を聞くと今度はうーんと首を捻った。

「首謀者を崇拝ねぇ。よっぽどの徳がある人間なのか、或いは、いえないような事情があるのか……」
「いえないような事情?」

 セシリオはまじまじとジョエルの顔を見つめる。ジョエルは両手を天に向け、口をへの字にして肩をすくめてみせた。