辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


「あ、叔父上だ」

 パトリックが呟いた時、サリーシャは表情を強ばらせた。せっかく贈って貰ったプレゼントを池に落としたなど、セシリオには絶対に知られたくなかった。

「二人の姿が見えたから来てみたのだが……。サリーシャ、パトリック、いったいどうしたんだ?」

 びしょ濡れのパトリックと袖を泥で汚したサリーシャの姿に、セシリオは困惑したような表情を浮かべる。「実は……」とパトリックが話し始めたとき、サリーシャはとっさに話を遮った。

「なんでもございません。閣下には関係ありませんわ」

 自分でも驚くほど、大きな声が出る。パトリックはびっくりして目を丸くしていた。

「──サリーシャ?」

 こちらを見つめるヘーゼル色の瞳が戸惑うように揺れたのに気付いたが、サリーシャはその視線から逃げるように目を反らした。