辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 コロンと手のひらに乗せられた望遠鏡はびしょ濡れだし泥も付いていたが、ぱっと見た限りでは壊れてはいないように見える。

「ありがとうございます」

 サリーシャは思わず涙ぐんだ。大切な宝物が戻ってきたことも嬉しかったし、パトリックの優しさもとても嬉しかった。
 
「びしょびしょだ」

 パトリックが自分の姿を見下ろして苦笑する。サリーシャは慌ててパトリックに持っていたハンカチを手渡したが、そんなものではどうにもならないほどの濡れ具合だ。

「すぐに戻りましょう」
「うん、そうするよ。風呂に入りたいかな」

 明るく笑ってくれるパトリックの気遣いが身に染みる。

「足は平気ですか?」
「うん。最近すごく調子がいいんだ。サリーシャ様のおかげだね」
「パトリック様の頑張りのおかげですわ」

 そんな他愛のない話をしながら並んで屋敷へと歩き始めると、視線の先の玄関が開いて人が出てくるのが見えた。