辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 そう言うとパトリックは靴も脱がずに、なんの迷いもなく池へと足を突っ込んだ。

「パトリック様! なにを!」
「さすがに僕もこの距離は手が届かない。すぐに取ってくる」
「でも、濡れてしまうわ。服も汚れてしまいます」
「うん。だから早く取ってくるよ。もう濡れてるから、今上がっても同じだよ」

 パトリックは苦笑すると、じゃぶじゃぶと池の中に足を進める。目的の場所に辿り着くと腰を屈めて片手で川底を探り、立ち上がってサリーシャの方を振り返った。

「サリーシャ様。これかな?」

 片手を顔の横の辺りに上げてこちらを向いて微笑むパトリックの手には、銀色の筒が握られていた。
 間違いない。サリーシャの宝物だ。
 頷くサリーシャを見て、パトリックは笑顔でこちらに戻ってきた。

「はい。どうぞ」