辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 周囲を見渡して、ちょうどよい長さの木の枝を見つけたサリーシャは、それを手に握った。こちらにその鈍く光るものを引き寄せようと試行錯誤したが、なかなか上手くいかない。

「やっぱり、入るしかないわね」

 サリーシャは右手をそっと伸ばして池の水に触れる。まだ暖かさが残る季節なこともあり、さほど冷たくはない。

 意を決してサリーシャは靴を脱ぎ、スカートをたくしあげた。いざ足を踏み入れようとしたところで「サリーシャ様!」と声をかけられて、サリーシャはビクンと肩を揺らした。恐る恐る振り返ると、すぐ近くでパトリックが怪訝な表情を浮かべてこちらを見つめている。

「……なにをしているの?」

 そう訊きながら、パトリックはバツが悪そうに視線をサリーシャから外す。サリーシャは自分の姿を見下ろし、慌ててスカートを整えた。膝から下の素足が丸見えだ。こんな姿、夫以外には見せてはいけない。