辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 サリーシャはその様子にハッとして辺りを見渡す。どこにも望遠鏡がない。きっと、転んだときに落として転がっていったのだ。

「ごめんなさい……」
「後で探すから大丈夫ですよ」

 サリーシャはラウルを安心させるようにしゃがんでその顔を覗くと、何事もなかったかのようににっこりと微笑みかけた。ラウルは不安そうにサリーシャを見つめ返してきたが、ホッとしたように息を吐いた。

「さあ、戻りましょう」
「うん」

 サリーシャはラウルの背に手を添えながら、もう一度後ろを振り返る。
 目を凝らしたが、見える範囲には落ちていない。

 ──せっかくセシリオ様からいただいたのに、どうしよう……。

 平静を装っていたサリーシャだったが、内心ではいいようのないほどにショックを受けていた。