辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 サリーシャはラウルに望遠鏡を手渡す。ラウルは目を輝かせてその筒を握りしめた。

「どこかに小鳥はいないかな?」
「あちらに何羽かとまっておりますわ」

 サリーシャは少し離れたところに生えた大きな木の上を指さす。羽は黒く、胸のあたりは白い鳥がとまっているのが見える。

「本当だ」

 ラウルは頬を紅潮させて早速望遠鏡を持ち直し、それを覗き込んだ。よく見えるのか、覗いたまま口元は笑みを浮かべている。
 しばらく観察を続けていたラウルは、望遠鏡を目元から離すとサリーシャの注意を引くようにスカートの端を引く。

「サリーシャ様、あっちに行こう」 
 
 すぐにひとりで走り出したラウルを、サリーシャは追いかける。

 そのときだった。
 目の前でラウルが勢いよく転び、前に倒れた。

 土から張り出した木の根に足を引っかけたのだ。それと同時に、前方の池からポシャンという音がして、水紋が広がる。