辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 優しく微笑んでこちらに手を伸ばしたセシリオの手を避けるようにサリーシャが後ずさると、セシリオの表情はサッと強張った。そして、その手はそれ以上こちらに伸びてくることなく宙で緩く握られ、ゆっくりと下ろされる。
 その後、セシリオは何事もなかったかのように振る舞い、ジョエルの元へ改めて挨拶へ行ってしまった。

 触られるのが嫌なわけではない。
 セシリオから触れられるのは、いつだって胸が高鳴って幸せな気持ちになる。

 けれど……、怖かったのだ。

 あそこでセシリオに触れられたら、色々な想いが溢れてその胸に飛び込んで泣いてしまいそうだった。そして、自分はまた彼の優しさに甘えてしまうのではないかと思った。
 サリーシャはゆるゆると首を振る。

 ──メラニー様に頼まれた最低限のことですらできないわたくしに、セシリオ様に甘える資格などないわ。