辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 なおも距離を保ったままのサリーシャの様子を怪訝に思い、セシリオはサリーシャに近づいた。いつものようにその滑らかな頬に手を伸ばすと、瑠璃色の瞳が動揺したように揺れる。

 サリーシャが一歩後ずさり、伸ばした手は虚しく(くう)を切った。
 

◇ ◇ ◇


 上質なカードにペンを走らせていたサリーシャは、その一枚を書き終えて手を止めると、ハァっと深いため息を吐いた。

 待ちわびていたセシリオがプランシェ伯爵邸に到着した。
 ずっと会いたいと思っていた。誰よりも会いたかった。だから、本当は周りの目も気にせずにその胸に飛び込んで、優しく抱きしめて欲しかった。──けれど、周りの目が気になって、なによりも、自分は本当にセシリオの妻に相応しいのだろうかという自信の喪失から、素直にそうすることが出来なかった。
 
 さきほどの、部屋でのセシリオの表情が脳裏によみがえる。