辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 かつて、セシリオはサリーシャ自身を愛しているからサリーシャを妻にしたいと言ってくれた。こちらを見つめていた真摯なヘーゼル色の瞳はどこまでも透き通って純粋だった。
 サリーシャはその言葉に偽りはないと今も信じている。そして、事実としてセシリオはサリーシャを妻にしてくれた。

 けれど、気弱になった今、思ってもみなかったことが脳裏を過る。

 ──セシリオ様のことを思うなら、わたくしはこの結婚を断るべきだったのではないかしら?

 ここ最近の自分の体たらくを見て、そんなふうにすら思えてきた。
 サリーシャはセシリオを心から愛している。自分のせいで彼を不幸にしたくないのだ。

 呆然としたまま部屋に戻ると、ノーラが心配そうに待っていた。

「サリーシャ様、どうなされました?」
「いいえ、なんでもないのよ」