辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 その瞬間、サリーシャはハッと息を呑んだ。
 なぜラウルが怒られているのを聞いたときに既視感を覚えたのか、ようやく思い出した。
 あのときにサリーシャの陰口を叩いていたご令嬢達を叱りつけたのは、メラニーの声だった。
 サリーシャは乱れる心を落ち着かせるために、両手をぎゅっと握りしめた。手のひらに嫌な汗をかいているのを感じた。

「わたくしはね、高位貴族の妻たるもの、多少したたかでも構わないと思っているの。なぜなら、多少のしたたかさがあった方が周りとの駆け引きを上手くできるからよ。それに、セシリオが断れなくてサリーシャ様を受け入れたという憶測もそのときに耳にしたのだけど、あの日のセシリオの様子を見て多分それは違うと思ったわ。あの子はとても愛おしげな瞳であなたを見つめていたもの」

 メラニーは落ち着いた口調でサリーシャに語り掛ける。