辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 けれど、優しく頭を撫でて抱きしめて欲しい人はここにはいない。そのことを、サリーシャはひどく寂しく感じた。
 
 ──セシリオ様に、会いたいな……。

 最後にセシリオから届いた手紙には、社交パーティー前々日までにはそちらに到着すると書かれていた。社交パーティーは四日後なのだから、明後日にはセシリオが来るはずだ。今頃はもう出発しているかもしれない。たった二日待つだけなのに、とても長く感じる。
 
 まだ来るはずもないのに、サリーシャは窓から外を眺めた。
 木々のはえた広大な庭の向こうには、鉄柵の大きな門が見える。その門の両脇の塀には蔦が絡まっているのが見えた。
 今にその向こうから、アハマスの紋章を掲げた一行が現れるのではないか。そんな淡い期待をしてしまう。

「わたくしは、だめね」

 窓の枠に手を置き、サリーシャは小さな声で呟く。