辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 ──わたくしのせいで、プランシェ伯爵の顔が丸潰れだわ。

 想像しただけでぞっとする。恩を仇で返すとは、まさにこのことだ。

「レニーナ様、サリーシャ様? 商品は届いたかしら?」

 背後から声をかけられて、サリーシャはびくんと肩を揺らした。振り向くと、食品庫の開いたドアの向こうからメラニーがこちらを見つめていた。

「ほとんどは届きました」
「ほとんど?」

 メラニーの眉間が訝しげに寄る。サリーシャはぎゅっと拳を握った。隠しても、どうにもならない。

「申し訳ありません。わたくしが注文ミスをしたようでして……」
「え? またなの?」

 “またなの?”

 少し呆れたような口調が、心にぐさりと刺さる。

「先日注意したばかりよ? 今度は大丈夫だってサリーシャ様が仰るから任せたのに」

 穏やかな口調だが、こちらを見つめる瞳にはありありと失望の色が見えた。