辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 サリーシャがそう言い終わるか終わらないかというタイミングで、ラウルが部屋を飛び出す。

「ラウル様、待って!」

 サリーシャは慌ててその姿を追いかけようとした。既にラウルの姿は廊下の端まで遠ざかっている。

 ──速いわ!

 あまりの素早さに脱帽してしまう。これはあの年配の侍女が外に行ってはいけないと止めた理由もわかる。まだ十代のサリーシャですら追いかけるが大変だ。

 スカートの裾を持ち上げて小走りで追いかけると、廊下の角、階段の手前あたりで「ラウル!」と叱る声が聞こえてきた。

「廊下や階段を走ってはいけません。何度も同じことを言わせないで」
「母上、ごめんなさい……」

 急いでそちらに向かうと、ラウルがメラニーに叱られていた。ちょうど走っている最中に、メラニーに遭遇したようだ。シュンと項垂れるラウルを見て、サリーシャはとっさにそこに飛び出した。