そのドレスを目にしたとき、サリーシャは想像以上の出来栄えに思わず感嘆のため息を漏らした。

 首の付け根までしっかりと隠しながら、その素材をレースにすることで軽やかに見える首元。
 艶やかな白のシルク地に同じく白い糸で繊細な刺繍が施された胸元。
 少し大きめリボンを後ろに付けて可愛らしく見せながらもほっそりとさせた腰回り。
 そして、緩やかに広がるスカート部分には薄い布を重ねたドレープが加わり、つまみ上げた随所に布を首元と同じレース素材で作られた花が飾られている。
 その中心部分には白い宝石──真珠が輝いていた。

 一たび腕を通せば、さらにその素晴らしさが際立った。サリーシャが動くたびにレースの花が揺れて真珠が鈍い輝きを放つ。緩やかに広がるスカートはサリーシャのほっそりとしながら付くべきところには付いた女性らしい体形を存分に引き立てていた。
 そして、胸元から首もとにかけてのレースはドレスの色より少しピンク味を帯びた肌を透かしており、布の多さによるもったりとした印象を完全に打ち消している。

「……素晴らしいわ。本当に素敵! どうもありがとう!!」

 これがあの、よく言えばシンプル、悪く言えばとてつもなく地味なドレスと同じものだとは到底思えない。そこには豪華できらびやかなウェディングドレスがあった。