辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

「きっとパトリック様は社交会に出たら大変な人気になるでしょうから、わたくしがお相手して頂けるチャンスも最後かもしれません」

 サリーシャはおどけたように笑う。まだあどけなさが僅かに残るパトリックだが、数年もすればアハマス家譲りの男らしい体躯とジョエル譲りの柔らかい印象を併せ持つ、素敵な男性になることだろう。今からその想像がついて、サリーシャは口元を綻ばせた。

「そんなこと……」

 眉を寄せたパトリックが何かを言いかけたとき、遠くで大きな呼び声がした。

「兄上! サリーシャ様! 見て!」

 少し離れた場所で足元を見ていたラウルは、手で土をほじってなにかを拾い上げると得意気な表情で駆け寄ってきた。

「昼間なのに、珍しいものを見つけたよ。見せてあげる」

 少し勿体ぶったようなしぐさをしてから、ラウルは握っていた手をゆっくりと手を開く。そこには、焦げ茶色に光る虫がいた。