辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 王都の作り込まれた人工的な庭園とも、アハマスでサリーシャが管理している中庭とも違う、元々ここにあった森の木々をそのまま残したような、自然と融合した美しさのある庭園なのだ。

 サリーシャはその広い庭園の一角で、パトリックと共に遊んでいるラウルを見守っていた。小路の脇のベンチに腰をかけると、パトリックはふうっと息を吐き、足をいたわるようにさすった。

「痛みますか?」
「痛くはないんだけど、筋肉が落ちてしまって。すぐに疲れて怠くなる。もっと歩かないと」

 パトリックは座ったままサリーシャを見上げると、困ったように笑う。

「ダンスの練習が出来ていないのが一番問題なんだ。ほら、もうすぐ社交会に出るのに、ダンスのリードが下手だと……」

 パトリックの声は言葉尻にいくにつれて小さくなる。よく聞き取れなかったが、きっとリードが下手だと格好悪いとかそんなところだろう。