辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 サリーシャはどうしようかと一瞬迷ったものの、ここでなにも言わずに立ち去るのはさすがにおかしいだろう。

「軽食をお持ちしました」

 にこりと笑うと二人の前に歩み寄り、果実水をラウルの前に、自分用に用意したティーカップをパトリックの前に、焼き菓子をゲームボードの横に置いた。
 邪魔だからすぐに立ち去ろうとしたが、それを止めたのはラウルだ。

「ねえ。サリーシャ様は、チェスはできる?」
「チェス、でございますか?」

 思わぬ質問に、サリーシャは戸惑った。ルールは知っているが、やったことは殆どない。正直にそう伝えると、ラウルは目を輝かせた。

「やり方を知っているなら、一緒にやろうよ。兄上は強すぎるからつまらない」

 口を尖らせるラウルを見て、遊び相手をしていたパトリックは苦笑する。テーブルの上に置かれたチェスボードを見ると、確かに勝敗はほぼついている状態だった。