辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 レニーナはとても綺麗な女性だ。二十二歳は結婚に適した年齢だが、あと数年もすれば兄のジョエルが心配する通り、貴族令嬢としては行き遅れと言われるようになってしまうだろう。きっと、男性からのお誘いも多いだろうにと不思議に思ったのだ。

「わたくしはね、プランシェが好きだから、あまり遠くには行きたくないのよ」

 サリーシャはなんと答えればよいかわからず、静かにレニーナを見返した。貴族の当主であればほとんどの場合は領地があるので、どうしても遠方に嫁ぐことになるのは仕方がないことだ。

「いろいろと思い描いていたことはあったけれど、機会を逸してしまったわ。ままならないものね」

 レニーナは少し寂しげに笑うと、目を伏せて残っていた手紙に手を伸ばす。封を開けるカサりという音がシンとした部屋に響いた。

 ──レニーナ様は、お慕いしていた方でもいたのかしら?