辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 けれど、先ほどの舞踏会で耳にした一言がまた脳裏に蘇った。

 『アハマス閣下もお気の毒に──』

 今はまだ殆ど辺境伯夫人としての役目を果たせていないかもしれないが、いつかはセシリオの隣で堂々と胸を張れる存在になりたい。だから、少しでも早く仕事の仕方を覚えたい。そんなふうに思った。

 メラニー自身、母親をセシリオの出産時に失っているので、社交の仕切りは試行錯誤の繰り返しで色々と苦労があったはずだ。それを踏まえた上での今回の申し出なのだろう。

「わたくし、行こうと思います」

 真っ直ぐにセシリオを見つめると、僅かにヘーゼル色の瞳が眇められる。

「本当に、無理しなくていいんだぞ?」
「……大丈夫です。わたくしが、行きたいのです」

 サリーシャは自分に言い聞かせるように、ゆっくりと繰り返す。守られてばかり、助けられてばかりでなく、セシリオと一緒に領地を治めていきたいのだ。